「前のジムでは黄色の課題がスイスイ登れたのに、新しいジムの黄色が全然登れない…」「グレード表記、結局どれを信じればいいの?」ボルダリングを始めて半年〜2年くらいの時期は、ちょうど色々なジムに足を伸ばしたくなるタイミングでもあり、そのたびに「色の意味」の違いにつまずく方がとても多いです。今日はこの「ジムごとに色の意味が違う問題」について、よくある疑問にひとつずつ答えていきます。
なぜジムごとに「色」の意味が違うの?
結論から言うと、テープやホールドの「色」とグレードを結びつけるルールは、業界で統一されたものではありません。V尺(V0、V3…)やフォントスケール(5.10cなど)はクライミング全体で使われる共通の難易度表記ですが、「この色=このグレード」という対応表は、あくまで各ジムが自分たちの壁・ホールドの構成に合わせて独自に作っているローカルルールなんです。
そのため、Aというジムの「黄色」がV2〜V3相当だったとしても、Bというジムの「黄色」はV1だったりV4だったりすることが普通にあります。さらに同じジムの中でも、壁の傾斜(垂壁か、前傾した壁か)によって同じ色でも体感難易度がガクッと変わることもあります。これは初心者が悪いわけでも、そのジムの設定がおかしいわけでもなく、単純に「色には標準規格がない」というだけの話なんです。最初にこれを知っておくだけで、「自分だけ急に下手になった?」という不要な焦りがかなり減ります。
よくある疑問にひとつずつ答えます
Q1. 前のジムで得意だった色が、新しいジムでは全然登れません。なぜですか?
先ほど説明した通り、色とグレードの対応がジムごとに違うからです。加えて、ホールドの「形」のクセもジムごとに全然違います。例えばスローパー(つかみにくい丸いホールド)を多用するジム出身の人は、エッジ(角のあるカチホールド)主体のジムに行くと最初は戸惑いますし、逆のパターンもよくあります。「色」ではなく「自分がどんな形のホールドに慣れているか」で得意不得意を考えると、原因が見えやすくなりますよ。
Q2. グレード表はどこで確認すればいいですか?
多くのジムでは、入口の受付付近やウォール脇に「グレードチャート(色とグレードの対応表)」が掲示されています。見当たらない場合は、受付スタッフに「グレード表はありますか?」と聞けば案内してもらえることがほとんどです。最近はジムの公式サイトやジム専用アプリに掲載されているケースも増えているので、通い始める前にホームページをチェックしておくと、当日の混雑時でもスタッフに聞く手間が減って楽です。
Q3. テープの色とホールドの色、どっちを見ればいいですか?
ジムによって「ホールド自体の色」で課題を分けている場合と、「ホールドの横に貼られたテープの色」で課題を分けている場合があります。さらに同じホールドの色でも、貼られているテープの色が違えば別の課題として扱われるジムも多いです。初めてのジムでは、まず1つ課題を眺めて「どこからどこまでが同じ課題なのか」を確認してから登り始めると、他の人の課題のホールドを間違って使ってしまう、というミスを防げます。
Q4. 初めて行くジムでは何色から挑戦すればいいですか?
いきなり自分の「得意だった色」を信じて挑戦するのではなく、まずは一番やさしい色(多くのジムで言う入門色)を1〜2課題触ってみるのがおすすめです。そこで「拍子抜けするくらい簡単」と感じたら一段階上げる、「あ、思ったより難しいかも」と感じたらそのまま同じ色を数課題登って体に基準を作る。この最初の5分くらいの「お試し」で、そのジムの色の感覚を掴んでから本格的に登り始めると、その日のペース作りがすごく楽になります。
Q5. V3や5.10cのような表記と、ジムの色表記、結局どちらを信じればいいですか?
普段ジム内で登るときは、そのジムの色表記を基準にして問題ありません。ただ、SNSで自分の登った課題を記録したり、違うジムの人と「どれくらい登れるか」を話したりするときは、V尺やフォントスケールのような共通言語に換算した方が話が噛み合います。多くのジムのグレード表には「この色はおおよそVいくつ相当」という注記があるので、それを控えておくと、ジムを変えても自分の立ち位置がわかりやすくなりますよ。
Q6. 常連さんに「このジムの色の感覚」を聞くのが気まずいです。聞き方のコツはありますか?
「このジム、他のところと比べて色の感覚どうですか?」とストレートに聞いてしまって大丈夫です。実際、長く通っている人ほど「このジムの黄色は辛め」「このジムの緑はサービス問題多め」といった感覚を持っていて、話すのが好きな方も多いです。聞くタイミングは、同じ課題に取り組んでいて小休憩に入ったときや、課題を触り終えて次に進む間など、相手の手が空いているタイミングを選ぶと自然に話しかけやすいです。
ジムを変えるたびに「振り落とされた」と感じたときの心の持ち方
私自身、通い慣れたジムから別のジムに行った初日、得意だと思っていた色の課題がまったく触れず、かなり凹んだ経験があります。でも後から分かったのは、そのジムが前腕への負荷が強い「カチ系」の壁作りで有名なジムだったということ。得意だった課題がスローパー主体だった自分には、単純に相性が悪かったんです。グレードが「下がった」わけではなく、求められる能力の種類が違っただけ、と捉え直せたことで、気持ちがだいぶ楽になりました。
新しいジムで思うように登れないときは、グレードの数字そのものより「どんな形のホールドで苦戦しているか」「どんな角度の壁で苦戦しているか」をメモしておくと、自分の弱点が見えてきます。これは次に書く「複数ジムに通う視点」にもつながる、地味だけど効果の大きい習慣です。
複数ジムに通うなら持っておきたい視点
いろいろなジムに通うようになったら、ぜひ「自分の中の基準になる課題」を1つ決めておくことをおすすめします。例えば「Aジムの黄色の、あの課題」を自分の中の目安にしておくと、新しいジムで「これはAジムの黄色くらいかな、もう少し辛いかな」と相対的に難易度を測れるようになります。色の名前やグレードの数字だけを追いかけるより、この「自分基準」を持っておく方が、ジムを変えても実力の伸びを実感しやすくなりますよ。
また、スマホのメモでも手帳でも構わないので、「ジム名・課題の色・体感の辛さ・苦手だったホールドの形」を一言だけ記録しておく習慣も地味に効きます。数ヶ月後に見返すと、「あの頃苦手だったスローパー、今は普通に触れてる」といった成長が見えて、モチベーションにもつながります。
まとめ
色とグレードの対応にジムごとの「正解」はなく、それぞれのジムが独自に作ったローカルルールだと知っておくだけで、新しいジムに行くときの不安がかなり減ります。最初は一番やさしい色から触ってそのジムの感覚を掴み、グレード表やスタッフ、常連さんの力も借りながら、自分なりの「基準の課題」を育てていってください。色の違いに振り落とされず、いろいろなジムの個性を楽しめるようになると、ボルダリングの世界がさらに広がっていきますよ。